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介護施設での映像・動画活用術4つ紹介

介護施設での映像・動画活用術介護施設では、最近特に映像・動画が活用されることが増えてきている。映像・動画自体いろいろなところで活用されることが増えてきてはいるが、とりわけ介護施設における映像・動画の活用は活発だ。

そんな介護施設における映像・動画活用ですが、そのすべてで同じような使われ方をしているわけではない。実は大きく分けて、4つの使用方法がある。

今回は、その4つの方法を紹介する。介護施設のスタッフや運営サイドの人間にこそ読んでほしい。

介護施設の紹介動画で利用者にアピール

介護施設における映像・動画の活用方法として、最もスタンダードといえるのがこの「施設紹介」での動画活用。ご高齢者自身やそのご家族方が、介護施設を選ぶ際には、見学に行ったり資料請求をしたり、最終的には直接的にその施設とコンタクトを取った上で決定をすることが多い。でもそれはあくまでも最終的な段階の話。

利用者や家族が、まずそこに行くまでに、たくさんある介護施設の中から、最終選考に残る施設と切り捨てる施設に分けられる。最終選考の前に切り捨てられていたら、当然利用者は増えない。切り捨てられないように、資料請求や見学の前の段階で、しっかりとアピールする方法が必要だ。

もし、介護施設の経営者や責任者の方がいたら、少し想像してほしい。自分の介護施設のスタッフさん職員さんがいくらがんばっても、それを上手く正しく外にアピールできなければ、集客が上手く行かない。例としては良くないが逆に言うとアピールさえ上手ければ、集客には成功できることになる。

あえて「集客」という言い方には理由がある。やはり介護施設や福祉施設も、企業がやる場合はビジネスだ。ビジネスである以上、利益をあげる必要がある。できれば良い利用者(何が良いとするかは個々に違うが)を多く募りたいのが多くの場合が紛れもない本音だ。

勘違いされがちだが介護や福祉だからといって利益をあげることは悪ではない。利益があがるから介護施設を拡張・整備できスタッフを増やせる。結果、利用者や利用者の家族のメリットになる。利益をあげるうえで役立つ1つが介護施設の紹介動画。

介護施設の紹介動画の意義とは?

簡潔に言って、「集客」には2つのアクションがある。とにかく数を集めたり、認知をさせたいアクションと、集めたユーザーの中から、良い利用者(=客)を捕まえるアクションだ。オープンしてまもなくはまず前者が優先される。しかし中長期的には、前者のアクションだけだとビジネスとして経営は火の車になりがちだ。

自身の施設や自分の職場は、経営の圧迫を現場に押し付けて解決してはいないだろうか?もちろん現場は努力が必要だ。しかし、根本的には上記後者のアクションをしないと解決は難しい。誤解を恐れず率直にいうと、トラブルやリスクの少ない、ある程度裕福で余裕のある利用者の利用率をあげていかなければならない。そこで介護施設の紹介動画というのが有効なのである。

当たり前だが介護施設を選ぶ最、金銭面で余裕のある利用者家族なら多少高くてもしっかりとやってくれそうな施設を選ぶ。”しっかりとやってくれそうな施設”を、先に述べたとおりまずはインターネットなどで調べる人が圧倒的に多い。インターネット上で動画を見るなど、一昔前ではありえなかったが今や当たり前のこと。

だが、まだまだ介護施設の紹介を動画で行っているところは多くはないのが実情だ。あったとしても、残念ながらクオリティが低い。動画が自分で撮影できる時代になったとはいえ、機材や撮影スキル、演出や編集の能力がないからだ。あまりにクオリティの低い動画なら、公開しないほうが良い場合さえある(つまり見る人がマイナス評価を与えうる場合がある)のだ。

いくらスマートフォンで4Kが撮影できるとはいえ、商業用としては限度がある。チャレンジしたことがある人ならすぐ分かるだろうが、やはり手ブレや明るさ、ボケ、音楽やテロップなどやはりプロの様にはいかない。Youtuberのような個人的なものならスマートフォンでも十分だが、利用者の選択肢の最終選考に残り、さらに他の競合より割高でもサービスや施設への納得感を得ていただくためには、やはり高いクオリティの動画コンテンツが必要になり、且つ非常に有効だ。

介護施設の紹介動画の例

いくつか例を紹介する。(ちなみに以下のいずれもがYoutubeに公開していて埋め込みを許可しているもの)

介護施設 「あずみ苑」 施設紹介動画

インターネット上のユーザーは介護施設を検索している場合、必ずしも動画を見ようとは思ってない。文字や画像、クチコミなど基本的には”読んで”情報を得ようとしている。動画があっても、動画のファーストインプレッション、つまり最初の数秒で見るかどうかを決める。

たとえば、この「介護施設 「あずみ苑」 施設紹介動画」の最初の数秒は、介護施設を探しているユーザーなら再生5秒で消すということはしないだろう。だが、このようなファーストインプレッションは素人ではなかなか準備しずらいだろう。

介護付有料老人ホーム「ホスピタルメント武蔵野」のご紹介

こちらも、同様の作りになっているが、先程の動画より長く5分強ある。動画を何分にするのが効果的で、ある程度長くした場合(1分以上)は構成にも拘る必要がある。何どういう順でどのように演出するのが効果的かも、素人が意識していない。ただ撮影して編集するだけではなく、どういうユーザーをどのように誘導するかを考えた上で、目的を達成するためのよく練られた構成がまず重要なのだ。

介護施設の紹介動画でも、最近では一流ホテルのアピール動画のようなものも増えてきている。たとえばドローンで空撮をしたり、あるいはドローン独特の動きでゆったりと施設内を飛び回り撮影したり。そこまではいかなくても、ボケ感のあるカメラを活用してスタイリッシュな雰囲気を醸し出してみたりしても面白い。

ドローン

もちろんそうした高級感のある雰囲気でアピールするのではなく、あえて居心地の良さをアピールするような、利用者へのインタビュー・職員へのインタビュー動画をメインとした構成が有効な場合もある。

介護施設を選ぶうえでは「どこで過ごすか」ということだけではなく「誰と過ごすか」ということも重要。だから、「誰と過ごすか」「どんな生活があるか」ということをわかりやすく動画で示してあげるのももちろん必要だ。どのような構成かは求めている利用者により最適化すれば、確実に求めている利用者を獲得することに繋がっていくはずだ。

介護施設では教育動画への活用も見られる

「介護」は、今の時代に間違いなく必要な仕事だ。社会への貢献度が極めて高い仕事であるにも関わらず、介護業界の人手不足はなかなか改善されない。各介護施設においても、人材が足りないと感じているところは多いのではないかと思う。

人材は費用ではなく資産である。しかし帳簿上は経費になり、負のサイクルを生みやすい。コスト削減のために給料を上げられないと、人材がいなくなる。人材がいないとなると、新しく入ってきた介護士の育成に時間を割いている余裕もなくなり。でも育成が出来ないと仕事全体がうまくまわらない。教育不十分な新しい介護士は自信を無くして離職してしまう…。

そんなサイクルを改善するための一つの手段として、介護人材向けの教育動画の作成という方法がある。これはいうなれば教習所の教習動画のようなもので、「こんな時にはこんな風に動く」ということを、動画の中で説明してマニュアル化しておくのである。本のマニュアルとは異なり、イメージが現実的になり教育の濃度が違う。

もちろんそれだけですべてを理解することは難しい。だがそれでも口で説明したり、紙資料で説明するよりははるかにわかりやすく、イメージもわきやすい。教える方も動画を見せて、見終わるころに顔を出して質問を受けたり、実際に動いて見せたりすればよく、時間をはるかに有意義に使うことが出来る。

介護施設でもリクルート動画の活用は多い

ただでさえ志す人が少なくなってきてしまっている中で、自分たちの介護施設に職員を集めるためには、やはりそこが魅力的であるということを、他の介護施設よりも積極的にアピールしないといけない。そのために活用されているのがリクルート動画だ

いわゆるリクルート動画は、何も介護施設だけではなく、一般企業などでも積極的に活用される。たとえば、スタッフへのインタビューだったり、あるいはインフォグラフィックを織り交ぜた施設の説明だったり、利用者に対しての動画と同じような施設紹介動画を作成して、他の施設にはないシステムや特徴をアピールするということが多い。

あるいは、ある一人のスタッフさんの1日に密着して、某NHKドキュメンタリーや某○○大陸のように仕上げて、この施設で働く人はどんな人なのか、どんな風な働き方をしているのかということをアピールするというのも面白い。いずれにしても、利用者だけではなく、働く人を集める上でも動画を活用するのはすごく有効だ。

介護施設利用者の家族向け動画という活用方法もある

介護施設で活用される動画には、ちょっと変わったところで利用者の家族向けの動画というものもあるのをご存知だろうか。利用者の家族向け動画とは、介護施設に入っている利用者の動画を撮影し、それにテロップをつけたりして、利用者向けに提供するというもの。

利用者の家族は、基本的には利用者が施設内でどんな生活をしているのかということを知るのは難しい。だが、動画を撮影してそれを送ってあげれば、それを知ることが出来る。介護施設に家族を入居させる際、家族にはいろいろな感情がある。心配だったり、中には申し訳なさを感じている方もいる。

心配する気持ちは動画を見せることによって和らぎ、申し訳ないという気持ちも、施設内で職員とその利用者の方が仲良く過ごしている様子を確認できれば、多少は和らぐはず。そうした心配する気持ちや申し訳なさをなくすことは、言葉で施設内での様子を伝えることでも可能だと思う人もいる。ただ言葉で伝えるだけだと、その言葉が本当かどうかはわからない。だから完全には安心することは難しい。でも動画内ではそうそう嘘はつけない。

ここまで介護施設における動画の4つの活用方法を見てきた。こうした活用方法の多さからもわかる通り、介護施設と動画というものはとても相性が良い。人材不足時にも動画は役立ち、競合との差別化にも役立ち、介護士志望の人ないしは利用者の家族の人の心配・不安をなくすためにも役立つ。非常に活かせるシーンは多い。

もはや情報を文字媒体ではなく動画で得るというのはスタンダードになっている時代。介護施設でまだ動画を活用したことがないというところがあれば、一度動画活用を考えてみてはいかがだろうか。

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