ビデオで認知症治療に取り組むことが出来る?映像による認知症へのアプローチ例 | 医療映像.jp

DUMMY

ビデオで認知症治療に取り組むことが出来る?映像による認知症へのアプローチ例

高齢化社会が進む昨今の日本では、認知症というのは多くの家庭にとって無視できない問題となってきています。そしてそれに頭を悩まされる方の数は、これからますます増えていくことが予想されます。

そんな中最近では、認知症へのアプローチ方法として、ビデオを活用したものが見られるようになってきているんです。

ビデオを使って認知症にアプローチする方法

ビデオ映像を使って認知症にアプローチするそのやり方は何も一つではありません。ただよくみられるのは以下のような方法。

たとえば現在90歳過ぎくらいの患者さんがいたとします。90歳過ぎくらいの方ということは70年ちょっとくらい前、1940年代の戦時中に20代前後という、一番戦力として見られる年齢だったことが多いですよね。

そこで、その患者さんに対して、戦時中の映像を見せたり、あるいはもっと刺激の少ないところで、戦争で使われていたような戦闘機や銃等の映像を見せてあげるのです。

映像とは言っても、何も本当に当時に撮影された映像でない場合もあります。スライドショーのように、写真を次々に表示するような映像であることも問題はありません。

いずれにしてもこんな風に自分の記憶の中に色濃く残っているであろうものを見せてあげるというのが、ビデオを使った認知症へのアプローチになります。記憶に残っているものは人それぞれでしょうから、当然戦争のビデオでないとならないということはありません。

たとえば音楽が好きな方であれば、好きな歌手の映像や、あるいは好きな歌手の音楽に合わせてその時代の歌手の写真をスライドショー形式で見せるということもありますし、車が好きな方であれば、その方の若いころに流行していたであろういろいろな車のスライドショーや、車の音が分かるような映像をまとめたビデオを見せるということもあります。

一人一人の患者さんにあったビデオを見せてあげることでアプローチしていくんです。

仙台の病院での認知症対策としてのビデオ使用例

仙台の富沢病院という病院での例をもって、実際にこうした認知症対策としてのビデオがどんな風に使われているのかということを紹介していきます。

この病院ではまず、しっかりとコミュニケーションをとって、その人がどんなものが好きだったのかを知るということからアプローチが始まります。それがわからないと効果的なビデオを見せることはできませんから、それは必須ですね。

コミュニケーションの中でその人の中で特に好きなこと、色濃い記憶を知ることが出来たら、それを週に1回20分程度、リハビリスタッフと一緒に閲覧していきます。もちろんただ見るだけではなく、閲覧中、スタッフはいろいろと質問をしたり、コミュニケーションを図ります。

映像を見るだけでも、十分患者さんにとっては刺激になるのでしょうが、それについて会話をすることでより刺激を与えることができますよね。その結果、多くの例で気分の安定を確認できたというのです。

そしてその安定状態が功を奏して、ある程度、忘れていたはずの記憶を思い出すことが出来たという例も多く見られました。

回想法というビデオを使った認知症へのアプローチもある

ビデオを使った認知症へのアプローチ方法としては、回想法というものもあります。回想法とは、簡単に言えば小さい頃の写真などを見せて、それについての思い出話を語ってもらうというようなもの。

好きなものを知って、それについての映像を見せてアプローチするというやり方も一つのやり方ではありますが、場合によっては好きなものを把握するのが難しいこともあるでしょう。そんな時に有効なのがこの方法になります。

この方法であれば、写真や昔の映像をなんとか探して、それを使って一つのビデオを作成する。あとはそれを見ながら話を聞かせてもらうというだけです。

好きなものについて語ることでも、人の精神は安定していくのでしょうが、同様に過去について語ることでも、精神は安定していきます。

過去について語る中で、「自分はこんな人間だった」「自分はこんなことをしてきた」と、自身の尊厳を取り戻すことが出来るようになるのです。

さらに、思い出せないことが増えている中で、しっかりと思い出すことが出来ることもあるということを改めて認識することで、精神的に安定するということもあります。

過去の写真が手に入らないという方もいるかもしれませんが、もし過去の写真を用意できるようであれば、こうしたアプローチも効果的です。

ビデオであれば使えばいくつかの見せ方を試せる

ビデオを使った認知症へのアプローチといえば、基本的には当時の映像をそのまま見せたり、あるいは写真を使ったスライドショーになるというのが主流です。でも、ビデオの作り方はそれだけではありません。

たとえば、ドラマ仕立てにして、より物語に入り込めるようなビデオを作るということも可能ですし、患者さん本人をモデルにしてキャラクターデザインをして、それを動かすアニメーションを作成するということも可能になります。

こうしていろいろなやり方で映像を作成していけば、その人がぐっと入り込める映像も必ず見つかるでしょう。これが、ビデオ映像のメリットです。

認知症に対してのアプローチ方法はさまざまなものがあるでしょう。たとえば運動をするということもその一つ。

でも運動は、たとえ多少運動の仕方を変えても、そもそも運動が嫌いな人の場合には興味を持ってもらうことがむずかしいですよね。ということは当然継続させることも難しい。

映像であれば、写真には興味が持てなくてもドラマ仕立てならば興味が持てるということもあるでしょうし、ドラマには興味が持てなくてもアニメであれば興味が持てるという方もいるでしょう。

そうしたアプローチの幅の広さがあるというのは、強いです。

家庭でも取り入れやすいのがビデオ映像

また、こうしたビデオ映像を使ったアプローチには、もう一つメリットがあります。それが、家庭でも取り入れやすいという点。

ビデオを使った認知症へのアプローチは、極端な話ビデオ映像と話し相手があれば可能になります。もちろん、実際に介護のプロの方が話を聞くのと、ご家族が話を聞くのでは、話の聞き方としてのスキルの差はあるかもしれません。

でも、本人に複雑な動きをさせないといけないわけではありませんし、専門知識がないとどうしてもだめだというわけではありません。むしろ家族であるからこそ話しやすいということもあるでしょう。

だからビデオを見せるという認知症へのアプローチは、家族が家庭で行いやすい方法でもあるのです。実際、家庭でこうしたビデオ療法を取り入れるという例も多々見られます。

映像を見せて、それについての話を聞いてあげるということは、認知症の治療方法としてだけではなく、これからの認知症の予防法としても用いられているものにもなります。

既に認知症のご家族がいる方はもちろんのこと、今はまだ認知症のご家族を抱えているわけではないけれど高齢の家族と一緒に暮らしているという方は、今のうちからビデオ療法を取り入れてみるのも良いでしょう。

写真を集めたり、あるいはどんなものが好きなのかということをしっかりとコミュニケーションをとったりして、そのための材料を集めてみてください。
もし今後ビデオ療法を活用しないとしても、そうしたコミュニケーションをとること自体、間違いなく良いことではありますから。

このコラムを読んだ人はこんな記事も見ています