統合失調症を体験させてくれる映像コンテンツ「バーチャルハルシネーション」とは | 医療映像.jp

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統合失調症を体験させてくれる映像コンテンツ「バーチャルハルシネーション」とは

統合失調症というのは、当事者以外にはなかなかその症状を理解しがたい病気になるでしょう。でも当事者にとってはその症状はすごく辛いものですし、できればその症状に関しての周りの人も理解も、もっともっと進んでほしいと思っているはずです。
そんな方のために、実は今の時代には、統合失調症の症状を体験させることが出来る、バーチャルハルシネーションというものがあるんです。

バーチャルハルシネーションとはVRの映像コンテンツ

バーチャルハルシネーションとは、簡単に言えばVRの映像コンテンツになります。

VR映像というのは、視覚はもちろんのこと、聴覚も奪って完全にその世界に没頭させることが出来ます。それを利用して、統合失調症の症状を体験させようというのが、バーチャルハルシネーションというもの。

VRコンテンツというと、大掛かりな装置が必要になるのではないかと思うものですが、バーチャルハルシネーションにおいては大掛かりな装置は必要ありません。

バーチャルハルシネーションで必要なのは、段ボール製のヘッドセットと、専用のアプリを入れたスマートフォンになります。これだけで統合失調症の症状を体験できるのですから、利便性は抜群でしょう。

バーチャルハルシネーションで実際に体験できるのは4つのシーン

バーチャルハルシネーションで体験できるのは、「軽蔑、命令、嘲笑してくる声が聞こえるというシーン」と、「行動を予言してくるようなシーン」、「日常的な生活音の中にひそんだ幻聴が聞こえてくるというようなシーン」、そして「やたらとおだててくる声」という4つのシーンになります。

どれも、ヘッドセットの中の実写映像に紛れて聞こえてくるので、その声自体もすごくリアルな声に感じられます。

リアルな声に聞こえるということは、その分だけリアルな体験が出来ているということになりますから、このバーチャルハルシネーションを通じて統合失調症への理解が進む可能性は高いでしょう。

そんなふうに統合失調症への理解を進めることが出来るというのが、このバーチャルハルシネーションの一番のメリットになります。

人は、自分が体験していない物事について理解をするのが難しい生き物です。

たとえば実際にスイカくらいのサイズの虫を見たことがある人であれば、そのくらいのサイズの虫がいると言われたときに信じることが出来ますが、これまでにそんなサイズ感の虫を見たことがないという人は、そんなサイズ感の虫がいるということを信じることはできないはずです。

それと同じで、「統合失調症はこんな症状です」と、口や書面で説明されたとしても、実際に自分がそうなっていない以上、それをあまり理解できないのも仕方ありません。

でも、こうしてバーチャルハルシネーションを利用すれば、その症状を自分が体験することが出来ます。

その結果、統合失調症への理解が進んでいくんです。

バーチャルハルシネーションで理解が進めばお互いに楽に

バーチャルハルシネーションで、統合失調ではない人が統合失調症の症状に対しての理解を進めることは、お互いにとってメリットがあるといいます。

まず統合失調症である人の方は、バーチャルハルシネーションで統合失調症を体験してくれた人に、どういうことが辛いかということを伝える際に、それを分かってもらえないストレスがなくなります。

統合失調症でない人の方も、統合失調症の人の辛さを身をもって体験している分、その人が言っていることを、少なくともこれまで以上には理解できるようになります。

つまりお互いに意思の疎通が取れやすくなり、お互いにストレスが溜まりづらくなるのです。

相手のことが分からない状態だと、お互いにストレスが溜まっていくのは仕方ありません。その状況を改善することが出来るというのは、すごく大きなメリットでしょう。

バーチャルハルシネーション以外でもVR活用は進む

統合失調症と同じく、見た目への変化があまりなく、いまいちどうしてそうなってしまっているのかが理解されづらいものの一つに、認知症がありますよね。

認知症は、今では社会問題といえるくらいに四方八方で起こっているものですが、実際どうしてそんなふうになってしまっているのか、どんな症状が出ているのかというのは、我々一般人では、あまりわかっていないという人がほとんど。

だからやはり認知症の人のことが理解できずに、一緒にいるのが辛くなってきてしまっている人が多くみられるのです。

そんな状況を改善するために、最近では認知症の症状をVRで体験させるという、バーチャルハルシネーションの認知症版のようなものも出てきました。

こちらも基本的にはバーチャルハルシネーションと同じで、スマホを使ってVRを体験していくといいます。

いくつかのシーンに分けて、幻覚などの症状を体験させていくということも、バーチャルハルシネーションとほぼ同じ。

このように、バーチャルハルシネーションのようなVRを利用した症状体験システムというのは、どんどん広がりつつあります。

実際これまでは、こうした認知症や統合失調症の症状をリアルに体験させるというのは、すごく難しいものだったでしょう。

骨折や、息が苦しいというような症状であれば、実際に体験したことがある人も多いでしょうし、そもそも体験させることもそこまで難しくはありません。素人でもどうすれば体験させられるか思いつくくらいです。

でも脳の病気ともなると、どうしても体験させることは難しかったはずです。

しかしこうしてVRが発展し、医療においても活用できるようになってきたおかげで、それが可能になってきました。

これからも、もっといろいろな症状の体験にVRが活用される可能性は高いでしょう。

バーチャルハルシネーションのような動画は作成できるのか

バーチャルハルシネーションや認知症の症状を体験させるような動画を作成することも、実はそこまで難しいものではありません。

たとえば装置を装着した自分が右を向いたら映像も右を向く、というようなシステムを作り上げるとなるとまたちょっと難しくはなってきますが、360度見られるような映像を撮影して、マウスなどでそれを動かしながら映像を再生するというくらいであれば、そこまで難しいものではないのです。

360度撮影できるカメラで撮影をして、360度撮影した映像を編集できるソフトで編集をすればいいだけなので、一般的なカメラでの撮影、そして編集とそこまで大きな差があるわけではありません。

そして実際、そこまで複雑なシステムでなくとも、バーチャルハルシネーション同様に、統合失調症の症状を理解してもらえるような映像を作ることは出来るでしょう。

ヘッドホンをつけてもらって、360度撮影をした画角を動かせる映像を見せつつ、ヘッドホンの中から幻聴が聞こえてくるようにすれば、十分症状への理解は進んでいくものです。

なんなら、360度撮影をしない、一般的なドラマのような撮影方法でも、十分症状についての理解を進めることは出来る可能性はあるでしょう。

なのでそれぞれの医療機関がそれぞれのやり方で、こうした理解の難しいものについての理解を進める動画を作成していくというのはアリなのではないでしょうか。

そんな風にいろいろなところが理解の推進に向けて取り組んでいくことが出来れば、もっと社会全体で、認知症や統合失調症などに対しての理解が進んでいくはずです。

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