「黄斑変性症」とは?
今年3月、歌手でタレントの和田アキ子さんが、左目が「黄斑変性症」であると診断を受けたことを明らかにしました。
「黄斑変性症」は「加齢黄斑変性症」とも言い、欧米では失明原因第1位の疾患です。日本では比較的少ないとされていましたが、現在では、日本人の失明原因の第4位、50歳以上の人の約1%にみられると考えられています。
症状は目のゆがみ、全体がぼやける、中心が暗くなる、映像が不鮮明に見えるなど。
「黄斑変性症」になってしまう最も大きなリスク因子とは?
もちろん高齢化の問題も大きいですが、「黄斑変性症」の大きな原因は、喫煙です。
喫煙歴が長く、喫煙本数が多く、煙を深く吸い込む人ほどリスクが高いとされ、発症率はタバコを吸わない人の2~3倍になります。
また太陽などの紫外線は網膜にダメージを与え、「黄斑変性症」になりやすくなります。
iPS細胞を用いた新たな再生医療とは?
日立製作所と国立研究開発法人理化学研究所の共同研究チームは、世界初のヒトiPS細胞由来の網膜色素上皮のシート状組織「RPE細胞シート」を自動培養することに成功したことを発表しました。
「RPE細胞シート」とは、世界に衝撃を与えた山中伸弥教授によるiPS細胞を用いた再生医療でiPS細胞から分化させたRPE細胞を含んだ懸濁液(一つ一つばらばらにした細胞を含んだ液体)を注入し生着させる手法、あるいはシート状のiPS細胞由来RPE細胞の移植により、視力を維持するために継続治療が必要とされてきた既存治療法に比べ、一度の移植での治療が可能になることが期待されています。
「RPE細胞シート」の自動培養成功によって技術者のスキルに依存していた細胞の品質が均一化し、量産による細胞の安定供給が可能になりました。
近い将来、このiPS細胞を用いた最新医療「RPE細胞シート」で、世界的問題になりつつある「黄斑変性症」に効果的な治療が身近に受けられるようになりそうですね。