VR映像は、うつ病の改善や統合失調症の症状の説明、さらには様々な病状の不安を取り除くため、または手術手技をVRで撮影して勉強のために利用するなど、医療分野においても様々なシーンで活用されているものになります。そしてこれからも様々な医療分野で活用されていく可能性はすごく高いでしょう。
そのうちの一つとして考えられるのが、VR映像が視力回復のために活用されるという展開。実際、海外ではVR映像を用いて視力が回復していったという報告も多数あるというのです。
目次
①VR映像で0.3から1.0に視力回復
ここで見ていく例では、そもそも視力回復のためという治療目的でVR映像を使用していたわけではありません。この例では、ただヘッドセットをつけ、普通にVRソーシャルアプリをプレイしただけでした。
シンプルにゲームをしたいからゲームをしていたというだけというのです。このように普通にVRゲームを特別なことをせず、5か月程度プレイしたら、いつの間か視力が0.3から1.0に回復したといいます。
当然これは、すべての人に当てはまるわけではありません。たまたまこの方にとってはこの方法が合っていて、それで自然と視力回復に至ったのかもしれません。しかし、人によってはこれでは視力を悪化させるようなことになる可能性もあることでしょう。
そのため、誰でも同じツールで同じゲームをプレイしていれば視力回復するというわけでは、まったくありません。しかし、実際にVR世界でゲームをプレイしていただけで視力が回復したという例があるのもまた事実なのです。人によってはVR映像というのはそれだけの力を発揮してくれるものだということです。
②アメリカの会社が視力回復用のVRツールを発売している
アメリカの医療系VR会社では、眼科医院に向けた視力回復のためのVRゲームを開発しています。
簡単にそのゲームの仕組みを説明すると、装着したVR用のゴーグルの中で、右目と左目で違うものを見せるようにするというのです。片方の視力が良かったり、あるいは片方の目の働きが良かったりすると、どうしても目はそちらに頼ることが多くなっていきますよね。その結果、片方の目の視力が悪くなり、片方の目の視力が悪くなって負担が増えた結果、次第にもう片方の目の視力も悪くなるなんていうことが起こるのでしょう。
その状況を改善するために、ゴーグルの中で右目と左目で別の映像を見せて、右目は右目できちんと働かないといけないし、左目は左目できちんと働かないといけないというような状況を作り出すのです。そういう状況を作り出すことが出来れば、自然と両方の目を使うことになるので、片方の目の働きも正常になるようになっていくことが期待できます。
片方の目を隠してもう片方の目だけを使うというようなことであれば、別にVRを用いなくても簡単にできます。片方の目を隠せばいいだけですから。実際にそうして片方の目を働かせようとしてきたという例も、眼科医院では過去にはたくさんあったことでしょう。
しかし、それだと片方の目は休みになってしまいます。両方の目がきちんと働いている状態で両方の目を使うということこそが自然ですよね。そのために用いるツールとしては、VRというのは最適ということでしょう。実際このVRツールは、すでにアメリカでは100以上の病院で採用されていると言います。
③VRで視力回復したという中国での研究データもある
アメリカではVRが眼科医院での視力回復に用いられています。これだけではなく、さらに中国での、VRが視力回復に役立ったという研究データもあるのです。
中国は北京のテクノロジーの研究機関での研究結果によると、仮想距離が適切に開発されたたVRのヘッドセットを装着し、その中でお絵かきソフトをプレイしてもらって視力に与える影響をチェックしたところ、約14パーセントの子供たちの視力が向上したというのです。まずVRゲームをプレイする前に目を検査。そしてゲームをしてから20分後にまた目を検査。40分後、60分後と比較的に長時間ゲームをプレイした後にも検査を施しました。
こうして目の検査をした結果、VRゲームをプレイした子供たちのほとんどで目の疲労が見られず、約14パーセントの子供たちの視力が向上。これは、VR映像による視力回復は起こりえるものなのだということを証明しているのではないでしょうか。
④VRで視力回復させることのメリット
VR映像を用いて視力回復をさせることが出来れば、それは病院側にとっても大きなメリットになるでしょう。現時点では、身体的なリスクがあまりないとされているという点。もちろんこれから何らかのリスクが発見される可能性だってありますが、そもそも視力回復させるというのは、決して簡単なことではないでしょう。
視力回復の方法としては、レーシック手術やICLという手段が考えられるでしょうが、それらはやっぱりノーリスクではありません。VRの場合、そうした目に直接何かをするようなことと比べると、やっぱりリスクは少なく見えます。
リスクが少ないということは、余計な医療トラブルが起こる可能性が少ないということで、それはまさに病院側にとってはメリットでしょう。
さらに、VR映像を見せるだけでいいので、一度VR映像を作成してしまえばコストがあまりかからないという点もメリットです。映像での治療の場合には、一度作成したものは何度でも使うことが可能になります。
最初にVR映像を制作するコストこそ多少高くなってしまうかもしれませんが、一度作成さえしてしまえばそれ以上にコストがかからない。作り変える際にコストがかかってきてしまうとしても、間違いなく薬にかかるコストよりは頻繁ではありません。コストを削減できるというのも間違いなくメリットでしょう。
⑤VRを視力回復のために用いることが一般化する前に検討してみては?
先に挙げてきたアメリカの医療系VR会社では、眼科医院用のVRツールだけではなく、家庭用の視力回復VRツールも発売しています。もし家庭で個人的に視力回復に努めることが出来たら、患者さん側にとってはそれが一番でしょう。
ただ日本ではこうした製品が、家庭医療用のアイテムとして製品化を認められるのは簡単ではないでしょう。もし日本でもこうしたアイテムが手に入るのであれば、試してみたいと考える方は多いはずです。でも現実的にそれは難しい。では病院でVRを用いた視力回復のための治療を提供するというのはどうでしょうか?それをするにもクリアしないとならない点はいくつもあるでしょう。しかし、少なくとも家庭用のそうしたツールを発売するということよりはハードルは低いはずです。患者側にとっても、病院側にとってもそれをするメリットはあるわけですから、一度検討してみるだけの価値はあるのではないでしょうか?
もちろんVR自体、まだまだ比較的に開発されて間もないものではありますから、検討するにしても時間はかかるでしょう。でも早くから検討していけば、より早く導入できる可能性は高いですし、より早く導入出来ればその分周りをリードする病院となります。
今のうちからじっくりと検討、あるいは研究してみてはいかがでしょうか?