医療の世界において、映像を用いた配信というのは、大きな役割を果たします。患者の手術を行った映像を、遠方の医師にも届けたいというときに、リアルタイムに映像を配信する方法や、動画に収めて配信を行うといった伝達方法が、現在の主流となっていますが、これらの方法より得られる効果には、どのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、手術映像を全国の医師に「見せる」ことのメリットや、難解な手術であっても、映像を利用して解説を行うことの重要性などに関して、分かりやすく解説をしていきます。
①視覚から働きかける映像を活用するメリットとは?
手術映像を遠方に向けて、延いては全国へ向けて届けたいというときに、耳で聞くだけでなく、「目で見る」ことから働きかけることの効果として、どのように手術を行うのかということを、映像を通して目で見ることが出来ることで、まず理解がしやすく、まるでその場にいるかのような手術中の臨場感までも、伝えることが可能であるといったメリットが存在します。
人間は、そもそも動きのあるものに目を向けやすいという本能的な特徴を持っているため、動きを伴う手術映像を利用して全国の医師へと働きかけることには、大きな意義があるのです。また、口頭での説明であれば、先生方の貴重な時間が削られてしまう可能性もありますが、積極的に映像を活用することにより、時間の短縮が実現出来て、効率的な時間の使い方を行えるというメリットもあるのです。
全国の医師に向けて、手術映像を見せることで、動画を閲覧した医師やスタッフが、手術技法や手術の際の立ち回りを容易に習得することが可能であり、また個人的に手術の練習を行いたいといった医師に、手術映像が利用されることが多くあります。動画として収められた手術の内容を通して、見識を深めることが出来、そういった映像を届けることで、さらなる知識の向上のためにも、役に立つのです。これは、医療機器や術式が日々進化することに対し、最新の情報を脳にインプットしておくといった意味合いも含みます。
一昔前の時代であれば、手術中の様子を観察する際には、実際にその病院まで足を運んで見学する場合や、手術室に関する規定もあることから、手術中の様子を容易に見学することは、不可能の領域を極めていました。それが現在では、映像をリアルタイムに配信することまで、容易に行えてしまうわけです。それだけでなく、手術映像を、いつでも自由に見学することが可能となった現代社会は、まさに映像技術の進化の賜であると言うことができます。
手術映像をリアルタイムに配信できることのメリットとして、全国の医師に向けて、今現在その現場で行われている手術の瞬間を、即座に伝達することが可能であり、新たな知識や理解を深めてもらえるといった「即効性」にも優れていることが挙げられます。その他に、遠方の病院同士を映像のネットワークで繋ぐことで、技法に関するアドバイスや、議論の場への活用が可能であったり、若い医師のための活用も行えたりと、メリットは多岐に渡ります。
リアルタイムで配信を行うことには、先生方のサポートをするスタッフの動きを、より効率化させるといった活用法も出来るといった効果もあります。また、遠方に住む患者に向けて、手術の説明を行いたいという場合にも、手術映像は活躍します。手術映像を見せることによって、治療に興味や関心を持つ患者の信頼度を高められ、安心させることができるという効果があります。特に手術に関しては、専門的な内容であって、患者もセンシティブになりやすい傾向にあるため、口頭での解説だけでは、理解を得にくいケースも少なくありません。
そういった患者にこそ、手術映像を見せる必要があると言えます。口頭での解説で、理解の難しい患者に対しては、尚更視覚化された手術映像を見せることで、分かりやすく伝えられ、安心感を与えることが可能なのです。この安心感を与えるということは、インフォームドコンセント的概念から考えても、非常に意義深いことです。そして、結果的には患者に納得をしてもらえて、順調に手術を行えるような環境に移行していけるといったプラスの影響を持ちます。
②難解な手術も「映像」を利用して解説を行うことが重要
手術映像を活用するフィールドとしては、主に遠方の病院や研究機関、大学の医学部などが挙げられますが、それらのフィールドを、さらに細分化していくと、医療界の中でも難しい手術の域であるカテーテル治療のフィールドでも活用されやすく、スキルやキャリアを持つ医師が治療を行うことが理想ですが、そういった先生は、大変多忙であるということも多くあります。そのようなときに、血管撮影装置の映像を全国へ配信することで、効率的な技法の伝達を行うことができます。その際、ワイヤレスインカムを使用することで、音声での伝達を行うことも可能です。
また、麻酔科医控室への映像配信も、効果的です。麻酔科医の医師不足は以前から叫ばれていますが、その状況は現在も変わりません。麻酔科医の抱える負担が集中してしまわないよう、手術中の映像や、バイタルサイン等を麻酔科医控室へ常時配信をすることで、手術のプログレス状況に応じて、最適なタイミングで操作を行うことが可能です。
現在、どの病院であっても、医師のやスタッフの人手不足は、以前にも増して深刻を極めています。このような事態は、地方の病院を中心として表面化しており、この事態の背景として、多くの医療従事者が大都市圏に一極集中してしまっていることで、地方病院の人手不足がより顕著となったことが指摘されています。
その中でも特に、検査や手術を行う、より専門的な分野での業務は常に多忙を極めており、時間外であっても、勤務しなければならないような状況が常習化しています。例として、内視鏡手術に関わる業務が挙げられます。この現状を少しでも軽減するため、手術中の映像をリアルタイムで配信し、遠方に住む若い医師に向けて解説を行うとともに、映像を通して向上心の高い人材確保など、新たな優秀人材を獲得していく必要があります。こうしたことも、積極的に手術映像を活用していくことで、実現可能なわけです。
その他に、手術室のフィールド外からのサポートという意味で、ナースステーション等と結び、急なヘルプがあったときには、最適なタイミングで駆けつけることができるといった活用方法もあります。また、緊急性のない場合であっても、こういった映像配信は、手術室サイドで選択可能であったり、あるいは閲覧サイドで決められた中から選択可能であったりといった使用方法もできます。
手術の領域における映像制作は、撮影から編集までの全てのプロセスで技法を必要としますが、手術に関する事例などの撮影や編集は、そういった技法やキャリアといった点が、さらに求められる領域であります。手術などの難解な内容に関するコンテンツには、映像を活用することで、全国の医師へと、容易に伝えることができるようになります。
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